アレグロ・エネルジコ マ・ノン・トロッポ

大好きなショスタコーヴィチ先生やマーラー監督の音楽をめぐっての考察(妄想とも言います)や、
出かけたコンサートの感想などを中心にして好きなものごとについて綴っております。

April 2008

仕事を辞めて腐って荒れていたときにめぐり合ったのが翻訳の仕事。
専門は音楽関係の学術書なのですが、縁あってクローン病の本『クローン病−−増えつづける現代の難病』も訳出して昨年出版することができました。
入院中に英語の勉強も兼ねて、クローン病の海外文献を読み漁っていたのですが、この本はちょっと切り口が違っていて、著者が精神科医ということもあるのですが、普通の本だとあまり扱っていない精神的な面にも重点が置かれていて、自分にもとてもためになりました。


翻訳の仕事は、ある程度自分のペースでできます。その上、入院していてもできます。実際、『クローン病−−増えつづける現代の難病』の大部分は入院中に訳出したし、前に出した『マーラー 交響曲のすべて』も半分くらいは入院中に仕上げました。


翻訳作業というものは孤独だし、うまい訳が出てこないと行き詰まってしまうという面もありますが、自分には合っていると思います。

ちなみに今訳しているのは、こんな本。

GUSTAV MAHLER Letters to his Wife
マーラーが妻のアルマに宛てて書いたすべての手紙をまとめたものです(今までに日本語に訳されていた手紙は半分以下で、その上、改竄や削除だらけでした)。
今までのアルマ・マーラー像がかなり変わってしまうかも!?
乞う、御期待!

とても簡単な病歴を書いてみたいと思います。

今を遡ること30年。
当時高校生だったわたしは(年齢ばれますね…)、「クローン病」と出会うことになります。
あまりにも昔のことですし、クローン病と診断がつくまでに2年もかかったので、最初の徴候がどのようなものであったか、判然としませんが、少なくとも消化器の不都合ではありませんでした。
当時は非常に稀な病気とされていて、何度入退院を繰り返しても診断がつかず、その間に徐々に悪化、消化器の異常もでてきて、「注腸造影」の検査を受けた結果、「クローン病」と診断がつきました。この間が2年なのです。高校は2年休学することになり、結局5年かかって卒業しました。
進学、就職とわりに順調にことはすすみ、10年以上、特にひどい症状が現れるでもなく、まったく普通の生活を送っていました。慢性疾患の常で、突発的に具合が悪くなることもありましたが、プレドニンの注射を打てばすっきり元気になっていました。
ところが、10年ぐらい前のこと、
仕事で行き詰まり(そのころはOLでした)、と、同時に冠婚葬祭イベントが集中。これには自分の結婚と、義父、実母の死去が含まれていますが、このあたりから怒涛の日々が始まりました。
仕事も泣く泣く辞め、毎年緊急入院を繰り返しては新しい腸管外合併症に悩まされ、去年からは即刻輸血を必要とする「大量下血型」になってしまい、戦々恐々とした日々を送っています。
幸い、去年の9月から始まったレミケードが功を奏しているのか、いまのところ落ち着いています。でも、おなかがギュルっとすると、「血が〜っ」って感じで、もう、心臓ばくばくでパニックに陥ります。精神安定剤が手放せません……。

と、まあ、こんな感じでしょうか(発症から現在に至るまでのことについては、かなりのページをさいて、拙訳書『クローン病―増えつづける現代の難病』の「あとがき」の中で詳しく書かせていただいています)。

現在服用中の薬は、ペンタサ12錠、プロマック、オメプラール、時々セルシン、たまにブスコパン、不眠の時はマイスリーとロヒプノール。そして、8週ごとのレミケード。
もちろんエレンタールも毎日3〜4本飲んでます。フルーツトマト味のフレーバーがお気に入り。結構ごくごくいけますよ。

毎日を元気に迎えるために朝食のときは音楽を流していて、たとえば今朝はこんな曲。

ベートーヴェン ピアノソナタ第15番「田園」、第16番、第17番「テンペスト」byグルダ

晩ご飯のおかずは、さわらの照り焼き、卵のふわふわ炒め(ノンオイル)

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はじめまして。まりぬ と申します。

今日から少しずついろいろなことを綴っていきたいと思います。
30年以上前からクローン病に罹患していて、緊急入院も数知れず。そんなこんなで更新が滞ることもあろうかと思いますが、よろしくお願いいたします。

ちなみにRosmarinusというのは、ローズマリーの学名(Rosmarinus
officinalis
)の属名部分で、「海のしずく」という意味です。
ローズマリーは「マリア様のバラ」というニックネームも持っています。
強い樟脳のようなその香りは心身の感覚を目覚めさせますが、
2007年10月22日付けの朝日新聞の記事によれば、岩手大学なども参加している日米合同研究チームが、ローズマリーに多く含まれるカルノシン酸という成分に、脳の神経細胞が細胞死するのを防ぐ効果があることを突き止めたそうです。
若返りで有名な「ハンガリアンウォーター」の主要成分がローズマリーであったと古文書にも記されていますね。
何にしてもありがたいハーブなのです。

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