アレグロ・エネルジコ マ・ノン・トロッポ

大好きなショスタコーヴィチ先生やマーラー監督の音楽をめぐっての考察(妄想とも言います)や、
出かけたコンサートの感想などを中心にして好きなものごとについて綴っております。

January 2012

名古屋フィルハーモニー交響楽団第387回定期演奏会
「愛と死」シリーズ〜運命の一撃に死す

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マーラー:交響曲第6番イ短調『悲劇的』
指揮:尾高忠明

2012年1月27日(金)18:45〜
愛知県芸術劇場コンサートホール


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今年初めての演奏会でした。
尾高さんでマーラーの第6番とくれば、チケットは完売に違いないと思っていたら、お客さんの入りは7割くらいでした。
何とも残念というか、聴かないなんてもったいない……というか。。。

第6番はマーラーの交響曲の中で基本的に一番好きな曲なので、このブログを始めるにあたり、6番の第1楽章の
アレグロ・エネルジコ マ・ノン・トロッポ
というのをブログのタイトルにしたわけです。
それくらい大好きな曲。
尾高さんの指揮はいつどんな曲を聴いても安心感に満ちています。
完成度がものすごく高くて、思いっきり音を出させながらもオーケストラを完璧にまとめあげるという統率力もステキです。
一昨日は、それが遺憾なく発揮されたすばらしい演奏会だったと思います。
金管、とくにホルンの見事さも尋常ではなく、ハンマーのお兄さんの構え方も美しく、乾きすぎずデッドすぎないハンマー・ストローク音も鳥肌ものでした。
(名フィルのつぶやきによれば、このハンマー台、リハーサルでは何度も壊れたとのことです)

尾高さんの背中から発せられるパワーに聴衆も釘付けとなったのか、いつもに比べて客席が随分静かでした。
それだけ集中させる演奏だったということでしょう。
そして、これは名古屋フィルハーモニー交響楽団の事務局の皆さまに大きな声で「ありがとうございます」と申し上げたいのですが、楽章間で客を入れなかったこと……これが演奏する側、聴く側の集中力を途切れさせない大切な要因になっていたと思います。
適切なご判断をありがとうございました

が、とても残念なことが最後に待ち受けていました。
残念というか、衝撃的というか、憤怒ものというか、それらを通りこして「口ぽかん」というか。。。
その時には戦慄してしまって思考停止状態に陥ってしまったのですが。

最後の最後、最後の音が鳴り、そこから余韻モードに入ろうとした
まさにその時
オルガン前席(つまり尾高さんの正面席)に座っていた一人の男性が立ち上がり、尾高さんの方をチラリチラリというか、わたしにはガンを飛ばしているように見えたのですが、とにかく尾高さんの方を見ながら、靴音をペッタンペッタンと響かせてゆっくりと歩いて外に出たのです
3階のステージ横(テューバのベルの正面あたりの席!?)の席にいたので、その様子をつぶさに目にすることになりました。

その男性の近くに座っていた人が体調を崩したので、その人が誰かを呼びにいったという説もあるようですが(事実カーテンコールの間に両脇を抱えられて静かに退出するご婦人がいらっしゃいましたが、抱えていたのはその男性ではなく、名フィル関係者やホールの人でもありませんでした)、果たしてどうなのか……と思いました。
何度も演奏会に出かけていると、演奏会の途中で具合の悪くなった人を見かけることが何度もありました。
周りの人や一緒にいた人は当然慌てて、係員に不具合を知らせようとしたり、当人を退出させたりしますが、その時に共通しているのは
「可及的速やかさ」というか「可及的速やかな動き」と、「慌てている中にもできるだけ音を立てないようにする気遣い」
です。
しかしながら、その男性の動きからはそのような「慌てたり」「気遣っている」ような気配は少しも感じ取ることができませんでした。
実際、その男性がホールから外に出たのと等しくして余韻も終って大拍手となったので、もし、本当に具合の悪い人を何とかしたいと思ったのならば、あと10秒(いや、8秒ぐらいでもよかったかもしれない)待ってダッシュで外に出ればよかったのに、と思うわけです
数秒待ってもダッシュすれば、結果的に外に出る時間に差はなかったでしょうし、誰も残念で嫌な思いをせずに済みましたから。
でも、繰り返しますが、少しでも足音を立てないように、とか、一刻も早く外に出ようという意志のようなものは、その男性からはまったく感じられませんでした。
まわりに対する配慮があれば足音は控えることはできたでしょうし、慌てふためいて出て行けば、「あ、何かあったのか」とも思うでしょう。

でも、申し訳ないのですが、わたしにはそうは見えなかったのです。
(楽団の人のお話によれば、どうやら、やはり体調を崩した人とは全然関係なかったみたい)

聴衆の多くは凍りつき、名古屋フィルハーモニーの皆さんは愕然とし、尾高さんに至っては激怒していらっしゃったのではないでしょうか。
わたしには、その人が尾高さんに「抗議をしている」か「喧嘩を売ってる」、
もしくは名フィルに対する嫌がらせのようにしか見えませんでしたから。

もう少しでまさに完璧の演奏会になったのに。
最後の最後で、ぶち壊されました。

残念でした

悲劇的 余韻を砕く 靴の音   みーちゃ心の俳句


あああああ、そういえば金曜日って録音していたのではなかったでしょうか。
あの靴音が後世に残るわけですね。

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全然次元の違うことなのですが、残念と言えば残念なので書いちゃいます。
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今回の演奏では、中間楽章の楽章配置が「アンダンテ」→「スケルツォ」だったのですが、プログラムの曲目解説で中間楽章の配置の変遷については一切触れられていなかったことです。
池田卓夫さんのコラムが大変充実していただけに、曲目解説がちょっとばかり見劣りしてしまったような気がしました。アルマの認識にも頷けないものがあったし……。

ホワイエではCDも売られていて、その中で目立っていたのはインバルとパッパーノのもの。
これらはどちらも「スケルツォ」→「アンダンテ」の順番で収録されています。
ちょうど目撃したときは、販売員の人はインバルを勧めていました。
今回CDを買い求めて聴いて「あれれ?」と混乱する人や、そもそも今回聴いて「今まで聴いたものと順序が違う」と違和感を覚えた人もいらっしゃったのでは……と思いました。

中間楽章の変遷については夫が著書の中で要点をまとめていますので、その部分を引用してみます。

(以下、『マーラー 輝かしい日々と断ち切られた未来』p.179〜p.180より引用)

……この楽章の順序の問題について、大まかに要点をまとめてみると次のようになる。

1.マーラー自身が迷っていた。
2.しかし、マーラーの死後、1960年代の初めまでには、第2楽章をアンダンテ、第3楽章をスケルツォとすることがほぼ定着していた。
3.1963年に、エルヴィン・ラッツ校訂による国際マーラー協会のクリティカル・エディションが、第2楽章をスケルツォ、第3楽章をアンダンテとすることがマーラーの最終的な考えであったという判断に基づいて、そのような順序で出版された。
4.1998年に国際マーラー協会は、1963年に出したものに全面的に改訂をほどこした新版を出したが、楽章順はそのままであった。
5.2003年に、国際マーラー協会が、「中間楽章の順はアンダンテ―スケルツォとするのがよい」ということを宣言した。1998年に出版したスコアの在庫分には「アンダンテ―スケルツォの順が正しい」ということを説明した紙を挿み込むことにした。
6.2010年、第2楽章をアンダンテに、第3楽章をスケルツォにした最新版の国際マーラー協会版が出版された。……
(引用ここまで)

なぜこのように変遷することになったのかについては、夫の著書をご覧になっていただければ幸いです(こっそり宣伝)。
CDの解説などで「中間楽章の順序は指揮者の考えによる」となっているものを見かけますが、一部の例外的な指揮者を除いてはそうではなくて、協会版スコアに基づいているものです。

えっと、それから個人的には、第2楽章がスケルツォで第3楽章がアンダンテというのが好きです

そして、ここからは願望というか妄想。
マーラーの最初の構想にあり、初版では指示されている3回めのハンマー・ストローク(コーダの783小節目)が入った演奏が聴きたいです
これまで4回マーラーの交響曲第6番を取り上げたという名フィルの皆さま。
次回は初版でお願いしますっ





明けましておめでとうございます。

昨年の夏以降、更新がサッパリな拙ブログに毎日少なからぬ数のアクセスをいただきありがとうございます。
ストレスフルな仕事にも片をつけ(?!)すっきりした気持ちで新年を迎えることができましたので、今年はもう少しいろいろなことを頑張りたいと思います。
どうぞ、本年もよろしくお願いいたします。

毎年、達成できないことが恒例となっておりますが、目標らしきものを掲げてみたいと思います。

ブログ更新しますっ!!
音楽は引き続きタコ先生を中心に聴きながら学びたいと思います。
タコ先生以外の音楽は、バロックなどを勉強したい……と考えていますが、これまた大きな世界なので何から手をつけたらいいのかわかりませんが、とにかく少しはわかるようになりたいと思います。
(要は、アレだ、ジャルさまの世界がわかりたいのだよ)
コンサートは名フィルの定期会員継続が決定しているので、名フィルを中心に、あとはタコ先生の曲が入っているプログラムのものを見つけたら、積極的に参加したいです。
追っかけは、ジャルさまと、玉木くんの二人に絞ります(わけわからんが)。
お仕事は、アルマを中心にして作曲家の妻たちについて考えていきたいと思っています。あ、も、もちろん、あちらも忘れてはおりませぬ。
狂歌作りにも真面目に取り組みたいです。

というわけで、

今年最初に聴いたCDは、ムーティ指揮/フィラデルフィア管弦楽団によるタコ先生の交響曲第5番です。
昨日、年賀状が無事に投函できたので、おせち料理を買い求めつつ、バナナ・レコードのバーゲンに行ってきたのですが、タコ先生好きがコレクションを手放したのかなぁ……というぐらい、珍しい(と思う)CDを6枚も見つけることができました。
その中の1枚です。
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ムーティさまとタコ先生の組み合わせって今ひとつピンとこなかったのですが、聴いてみて納得しました☆

重厚だけど、重さを感じさせないというか、第3楽章はかなりしみじみとしていましたが、全体的に無理に煽ったり、派手に緩急をつけたりすることなく、音がキラキラと輝くような、しなやかなオプティミズムに満ちた演奏だったと思いました。
結構好きだ〜!
(めずらしいと思っていたら、HMVでは普通に取り扱いがあるみたい。。。はずかしい。結構高い評価がついてます!)

このあとはストコフスキーによる第6番を聴きたいと思います。
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こちらもジャケットが綺麗


そして、今年最初の狂歌です

今年は辰年ですね☆
辰と言えばドラゴンズということで!

【た】 辰の年
【つ】 つつがなきよう
【の】 祝詞あげ
【と】 ともに歩まん*
【し】 勝利への道

みーちゃ亭まりやっこ


*「ともに」を「とらと」に変えるとタイガース・ファンの皆さま仕様となります。


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結局、相変わらずのワタクシでございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

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