アレグロ・エネルジコ マ・ノン・トロッポ

大好きなショスタコーヴィチ先生やマーラー監督の音楽をめぐっての考察(妄想とも言います)や、
出かけたコンサートの感想などを中心にして好きなものごとについて綴っております。

タグ:アレグレット

りゅーと弦楽四重奏団演奏会
チラシ 016ハイドン:弦楽四重奏曲第78番 
作品76-4 変ロ長調
ショスタコーヴィチ
弦楽四重奏曲 第3番 作品73 ヘ長調
チャイコフスキー:
弦楽四重奏曲 第1番 作品11 ニ長調
*アンコール*
ショスタコーヴィチ
アレグレット(ポルカ)
レスピーギ:
リュートのための古風な舞曲とアリア
〜第3組曲より「イタリアーナ」

第1ヴァイオリン:神戸潤子
第2ヴァイオリン:日比浩一☆
ヴィオラ:寺尾洋子
チェロ:古澤渉   皆さま名フィルのメンバーでいらっしゃいます。

☆本来は大竹倫代さんの予定でしたが、急病ということで名フィル、コンサート・マスターの日比さんが務められました。

さて、ついに実現!
本日は、いつも素晴らしいコメントをくださる「ライオンの昼寝しし座」さまをゲストにお迎えしての、ヴァーチャル対談形式でお送りさせていただきます。
この夢の企画が実現した経緯につきましては、この記事のコメント欄をご覧くださいませ。
(なお、「ライオンの昼寝」さまのお言葉部分は太字で示しています)

はじまり、はじまり〜
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

――本日はようこそお越しくださいました。
さて、早速ですが、タコ先生の弦楽四重奏曲第3番はいかがでしたか?

――SQ3番は惚けた感じの第1楽章にも不安や強迫観念が寄添っており、第2楽章以降は不安と怯えの連続です。
録音で聴いてもそれは伝わるのだが、生で聴くとそれらが実にリアリティを帯びている・・・こちらまで震えが来そうだ。
多少の乱れがあっても、これだけの緊張感を持続されると圧倒されるだけであり、深い世界を提示するタコ先生の見事さに脱帽である。


――そうでしたね〜! 
わたしはハイドンがちょっとアレレ…という感じだったので、実を言えばタコ先生がきちんとできるのか心配だったんです。それで緊張してしまいました。
聴き終わってみれば、迫力の演奏に大満足です。
もっとさらっと演奏するのかなと思っていましたが、1stが入りの部分で微妙にタメを作ったりしてすごく工夫が感じられました。
第2楽章がとても好きなんですが、無窮動の上に響く不安を感じさせる音も切迫感があってよかったです。
古澤先生(以前ちょっとお世話になったことがあるので)のいぶし銀のようなチェロも素適だったし……。日比さんが加わることで程よく緊張感が増したような気がしました。
でも、つくづく不思議な曲ですね。交響曲第8番をもっとしっかりと聞き込まなければならないと思いました。

――そして電気文化会館に来る聴衆ってのは、こういう作品でもじっと聴く・・・たとえ退屈しても、周囲に迷惑をかけないで我慢することを了解している人が多いのだろう。

――お客さん、入ってましたね〜! これにはちょっとびっくりいたしました。なかなか渋いプログラムで室内楽だから6割入ればいいのかなと思っていましたが、ほぼ満席でしたよね。
そして、ライオンの昼寝さまは後ろの方に座っていらっしゃったのでしょうか?
最前列で起きていた恐ろしげなことにお気づきにならなかったのなら、それは精神衛生上とてもラッキーだったと思いますよ〜。
いえね、わたしって電気文化会館の演奏会の時は極めて前の方に座る癖がついてしまっているので、今回も前から2列目の中央左寄りに座ったんですが、目の前に座っていらしたおじい様が、4人が登場するなり「・・・ちゃん、・・・ちゃん、元気〜? ・・・ちゃんは大丈夫〜?」などと声掛けをなさり、演奏中も時々声をかけたり、唸ったり、笑ったりなさっていたので「今日は一体どうなるんだろう…」と。
最初の最初でこれがあったので、もうず〜っと緊張し続けて疲れちゃったんです(笑)。

――困ったのは、これだけ厳しい作品を激しく演奏されたので、ハイドンがすっ飛んじゃったということ・・・結果論で言うとハイドンはなくても良かったかもしれないが、それだと準備体操なしでタコ壺掃除をさせられるのでハイドンが人身御供となったという、聴くも涙のお話・・・与太話?
更に言えば、タコ先生で帰ってしまってもいいくらいだったが、私は「アレ」を期待してチャイコフスキーも聴くことにした。


――そうそう、ハイドン……。
完全にすっ飛んじゃいましたね。っていうか、タコ先生に比べて完成度の点ではちょっと劣っていたのかなという気がしました。
縦の線? 入りが乱れた部分がちょっと気になりました。それから調弦が、なんだか少しだけずれていったような……。
ハイドンの曲って素直で簡単そうに聴こえるけど、実は細かい部分がきちんとできていないと破綻してしまうという誤魔化しのきかない難しいものであるなと再認識しました。
休憩の時間で場所移動をしようと思って目星をつけていた席(前から2列目の左端)を見たら、宗次徳ニさんがまさしくその席に座っていらしたので移動はなしとなりました。
ライオンの昼寝さまは、このときにすでに「アレ」を予見していらしたんですね!
さすがです!!

――チャイコはというと、元から穏やかな気持ちで聴ける作品なのが、タコ先生の後だったので「こんなにほっとする作品だったか?」という印象となりました。
実によく出来た作品(皮肉ではなく)であり、あまりの健康なロマンに「不安や懐疑がなくてもいいのか?」と思ってしまったのは、明らかにタコ3の影響が残っていたからです(^^;


――チャイコフスキーの時も、前列のおじいさまが……。
小林先生がいらっしゃるのかと思ってしまいました、チャイコフスキーだし。。。
演奏者の方々も、タコ先生の呪縛から解けたみたいにのびのびと弾いていらっしゃいましたね!
とても聴きやすい演奏でした。

――そしてアンコール・・・全員がピチカートの構えをした瞬間、心の中で「やった、アレだ!」と快哉を叫びました。
アンコール・ピースとしてよく演奏されるポルカですが、実演に接したことがなかったので、期待していたのです(^^)
この曲はアゴーギグや間の取り方が演奏者によって実に様々で、りゅーとの皆さんの解釈がどんなものか楽しみでした。
一直線にそっけなく行くかと思ったのですが、色々とニュアンスの強調があり、おどけた感じがよく出た楽しい演奏でした。
それにしても日比さんの嬉しそうな笑顔は、この日一番のもの・・・代役を終えてほっとしたのと、このポルカを楽しんでいるのと、そんなふうに感じました。


――わたしもです〜!! わたしはいっさい予見できていなかったので、ひたすら感動していました。
そして、マンデルリングで聴いたアンコールはやはりこれであったと確信いたしました。
颯爽としている中で、ライオンの昼寝さまがおっしゃるように、さまざまなニュアンスの強調が見え隠れしていて、非常に色彩が豊かでしたね。
今回はアンコールの表示も「アレグレット(ポルカ)」となっていました。

――レスピーギは最後のデミ・カップのコーヒー・・・聴いてるのだか聴いてないのだか、身を任せた状態でした。
重量級のフルコースを堪能しました。


――同感ですっ!
タコ先生のポルカの余韻に浸りきっていたので、レスピーギはあまり印象に……(笑)。
さまざまなことで緊張を強いられましたが、終ってみたら本当に楽しい演奏会でした。
欲を言えば、もう少し安心して聴きたかったです。。。

――今年は20日の名フィル定期を残すのみです。

――そうなんですか? 
わたしは今回が今年最後の演奏会になる予定でしたが、やはりオーケストラで締めたいなというのもあるので、20日の名フィル定期行くことにします。

本日はお忙しいところありがとうございました。
またのお越しをお待ちしています。
ありがとうございました。

あ、お気をつけてお帰りくださいね。
外はたいそう冷えてまいりましたから。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

と、対談形式はいかがでしたでしょうか?

これからこのような記事が増えるかも・・・ふふふ。


昨日はショックでした。

「弦楽四重奏のためのアレグレット」だと思っていたものが「ポルカ」だったかもしれないなんて……。
お出かけするつもりだったのですが、意気消沈のあまり外に出る気にならず、またしても引きこもっていました。

1ヶ月ちかく外出していないのでは……(近所のコンビニなどは除く)。
ぼ〜っとしながらフェリーチェ・トワコでお買い物してしまいました。。。

タコ先生そうしたら、Mahlerianがこのようなものをお土産に買ってきてくれました。
2008年3月15日に全音楽譜出版社から出たタコ先生の楽譜なのですが、
「未完成の弦楽四重奏曲」と、あります!!
解説文の冒頭に
初めての出版となるこの弦楽四重奏曲は、この小論を書いた2人の著者によって、2003年ドミートリィ・ショスタコーヴィチ文書保管所で発見され、弦楽四重奏曲第9番の初期の試みの1つと判断された」とあり、最後の部分に「未完成の弦楽四重奏曲は2005年1月17日、ボロディン四重奏団によってモスクワ音楽院大ホールで初演された」と書いてあります。

タコ先生 001手稿譜の第1ページが載っているのですが、「弦楽四重奏曲第9番/第1楽章」と、「作品113 変ホ長調、テンポ アレグレット」と書いてあるのが見てとれます。

解説文:オーリガ・ディゴーンスカヤ、オーリガ・ドンブローフスカヤ著、三橋圭介訳
全音楽譜出版社
ISBN978-4-11-891856-3
Shostakovich Complete Edition


ってことは、これが正真正銘の「弦楽四重奏のためのアレグレット」ではないですか!
草稿に従ってロマーン・レデニョーフによって完成された(冒頭に書いてあります)この曲、どんななんだろう!!

どんな曲なのか、とりあえず、ピアノ用トランスクリプション:まりぬ編(主に1stVnパートを右手で、Vcパートを左手で弾くだけ)で早速確かめてみることにします!

このところ毎朝こちらのCDを聴いています。
421


エマーソン/ショスタコーヴィチ
icon
エマーソン弦楽四重奏団によるタコ先生の弦楽四重奏曲全集


そして、今朝は4枚目だったのですが、聞いた瞬間

この曲どこかで聴いたことがある
『マンデルリング・クァルテット』の演奏会に行った時にアンコールで聴いた曲に酷似している


CDの解説書を見ると
Allegretto(Polka)for String Quartet.
after the Polka from the Ballet "The Age of Gold", op.22
と書いてあります。


すかさず工藤さんの本でチェック。
今朝聴いたこの曲は『弦楽四重奏のための二つの小品』の「アレグレット」です。


演奏会のアンコール曲もこの曲だったんでしょうか?
「弦楽四重奏のためのアレグレット」ではなかったの???

ちょっと、というか、ずっしりとショックです。。。

しかし、演奏会で聴いた時は、後半部分がもっと広がった感じで、本当におもちゃ箱をひっくり返したような印象をうけたし、曲そのものがもう少し長かったような気がします。
それは、わたしたちが感動と興奮で相当に上ずっていたので、そのように聴こえてしまったということなのでしょうか。
でも、曲を聴いた時の最初の印象は「ピチカート・ポルカみたい」だったので、それが「ポルカ」であったなら、この印象はあながち間違っていなかったのかもという気もいたします。
普通この曲をアンコールなどで紹介する場合は「ポルカ」なのか「アレグレット」なのかどちらなんでしょう


師匠や工藤さんによると、この「ポルカ」はアンコール曲として多くの弦楽四重奏団が重用しているとのこと。


あの時のアンコール曲はいったい何だったのでしょうか。







マンデルリング・クァルテット・コンサート
チラシ 007プログラム
シューベルト:
弦楽四重奏曲第13番イ短調「ロザムンデ」
シュスタコーヴィチ:
弦楽四重奏曲第7番嬰ヘ短調
ドヴォルザーク:
弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」

*アンコール*
ショスタコーヴィチ:
弦楽四重奏のためのアレグレット
ドヴォルザーク:
2つのワルツ第1番


行ってきました!
マンデルリング・クァルテットのコンサート。
今夜はアンコールのことだけ取り急ぎ書きたいと思います。

いろいろあったコンサートですが、とりあえず無事終了。
何か4人が気を悪くしていなければいいのにと思っていたら、熱い拍手に応えるように再びステージに。。。

そして弾き出した曲は、うわぁ。

おもちゃ箱をひっくり返したようなコミカルな旋律がピチカートで奏でられる基本的に「ピチカート・ポルカ」のような曲なのですが、その根底に流れる不安定だけれども、わたしにとっては心地よいこの旋律は間違いなくタコ先生。
でも聴いたことがない曲です。何だろう、この曲は。。。

すべてのプログラムが終了してロビーに出ると・・・紙が貼ってあって
ae2c3363.jpgショスタコーヴィチ
「アレグレット」
と書いてあります。

そそくさと家に帰り、工藤さんの本で調べました。
紙には「アレグレット」とだけ書いてありますが、15曲ある弦楽四重奏曲に含まれている「アレグレット」ではありません。
聴いたから間違いないもん。
たぶん。


本の巻末についている作品リストを見たらありました。
「弦楽四重奏のためのアレグレット」作品番号のない曲です。

この曲は弦楽四重奏曲第9番を構想していた1962年ごろに書き進められていたけれども破棄されたものらしいです。
タコ先生はこの破棄された曲について「これは子どものための音楽で、おもちゃについて、遊びについて書いたもの」と語っていらしたようです。
そしてこの破棄された四重奏曲の断片は2005年1月19日にボロディンQが初演したとのことです。(以上『ショスタコーヴィチ全作品解読 (ユーラシア選書)』工藤庸介。p.132〜3より抜粋)
ということは、すごい稀有な体験をしてしまったのではないでしょうか。

非常に嬉しいです。

でも、家にあるどのCDにも入っていません。
入手できる音源は存在しているのでしょうか。。。

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